原子爆弾を開発するために行われたマンハッタン計画を描いた絵本。
世界中から集められた優秀な科学者、サイトY、ガジェット、ウラン、プルトニウム・・・まるでSFのようだが、これはまぎれもないノンフィクション。淡々とした落ち着いた文章で、計画が徹底的に秘密裏に進められたことが重々しく伝わる。実験のカウントダウンから最後の真っ暗なページへたたみかけるように恐怖におそわれる。トリニティ実験のわずか3週間後にアメリカは二つの原子爆弾を日本に投下した。本当に戦争を早く終わらせるためだったのでしょうか?本当に必要だったのでしょうか?
小3の娘は少し怖くなったみたいだが「今もまだあるの?」の質問に「もうないよ」と答えられないのが悲しい。
あとがきによれば、実験での放射能は2万4100年後まで消えない。しかし、今なお多くの核兵器が世界に存在しているという事実に愕然とする。
このような本をアメリカ人の著者が書いて、アメリカの出版社が出したということに大きな意味を感じる。(N.T)
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原題:The Secret Project
文:ジョナ・ウィンター
絵:ジャネット・ウィンタ-
訳:さくま ゆみこ
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