ある雨の日、だるまちゃんが歩いていると、天からかみなりの子どもが落ちてきました……ぴかぴか、ごろごろ、がらがら、どしん。そんな、音だけで始まるこのお話は最初から迫力満点です。地上に落ちる途中で、だいじな浮輪を木の枝にひっかけてしまったかみなりちゃんのために、だるまちゃんは大奮闘。でも、なかなかうまくいきません。そこへ雲に乗ってかみなりどんが登場。傘も浮輪も難なくとりもどしてくれました。おかげでふたりは公園やプールで遊んだり、かみなり家でごちそうを食べたり。そしてかみなりちゃんは、めでたくわが家へもどることができたのです。
地球に落ちてきて、おうちに帰れないと泣くかみなりちゃん、男気をだして、かみなりちゃんのため、浮輪をとりもどそうと奮闘するだるまちゃん。雲の上のかみなり公園のにぎやかなこと。あたりにはビルが建ち並び、高速道路が走り、雷が電波として四方に飛び交い、アンテナつきの雲がみんなの乗物。そんな風景には、加古さんらしい豊かな想像力がたっぷり。最後のだるまちゃん一家のパーティ風景では、部屋のテレビに、だるまちゃんとかみなりちゃんが(ニュースとして)映しだされています。
加古さんは工学博士として化学研究所に勤務するかたわら、セツルメントや児童文化の活動に情熱を傾け、こんなに愉快でおおらかな絵本も数々作りだしました。(きむひろ)
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加古里子 文/絵
福音館書店
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