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010.くもつくりびと

  • 執筆者の写真: NOBUKO KURONUMA
    NOBUKO KURONUMA
  • 2020年5月25日
  • 読了時間: 1分

更新日:2020年7月17日


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「くもつくりびと」 この広い世界にただ1冊の本。 下の娘が17年前に作った絵本です。 心静かに安らかにするべき仕事をこなし、遠くを見る眼を失わない主人公の姿を美しいと思います。 彼女は小さい時から絵を描くのが好きで日常の自分の心の動きを全部絵で表現していました。私の手元にはその膨大なメモや描き散らしの1部が残っています。今見ると抱腹絶倒。私は紙を絶やさないようテーブルに置いておくのが常でした。 (M.K)


さく・絵  きのした いお 製本  木下伊央 2003年 制作 サイズ 縦205 横285(mm)


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表紙


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見開き


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北の岬の小さな家に

雲作りの職人が住んでいた


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彼の仕事は雲を作ること

作った雲を空へ放すこと


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夏の終わりのある晩に

風が窓をたたいた

それは大きな風の来る合図


彼は立ち上がる

大きな嵐を作るため


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彼は道具をそろえると

雲を作りはじめた

ひとつ またひとつ


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彼の作った雲は風に乗り

雨と雷をつれて次々と

遠くの国へと旅立っていく...


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(ことば無し、鳥は切り抜かれている)


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嵐を作り続けて四日目の朝

彼は道具をきれいに片付けると

よろよろと

家の外へと出て行った


今まさに新しい朝を迎えた空は

眩しい光があふれていた


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彼はこの空が

なによりも好きなのだった


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裏表紙




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